— How to Burn

正しい焚き方

薪ストーブは、正しく焚くことではじめて、その性能を発揮します。
安全のため、環境のため、そして長く使い続けるために。

なぜ正しい焚き方が必要なのか

火は本来危険なものなので、火を取り扱うものには常に安全に対する責任が伴います。 火災や中毒、近隣トラブルを防ぐだけでなく、大気汚染を防止するため、地球温暖化を抑制するためにも、正しい焚き方が必要です。

地球温暖化と薪ストーブ — カーボンニュートラル

Carbon Neutral

CO₂ 増加を抑える

薪が燃焼時に排出する CO₂ は、樹木が成長の過程で光合成によって吸収したものです。 適度な間伐で森を育てながら薪を使う循環は、大気中の CO₂ を増やしません。

薪利用は化石燃料の消費を置き換え、大気中の CO₂ 増加抑制の効果があります。

Clean Burning

クリーンに燃やす

ただし、不完全燃焼時に排出される煤(ブラックカーボン)は太陽光を吸収し、 地球温暖化の原因になります。

だからこそ、よく乾いた薪を、正しく燃やすことが大切です。エネルギーを自分の足元から選び、 環境にやさしく使う。それが薪のある暮らしです。

薪の燃焼の仕組み

薪は温度によって燃え方が変わります。温度が上がるにつれ、次のように燃焼が進みます。

260℃付近薪が熱分解し、可燃性ガスが放出されはじめます。
290〜400℃可燃性ガスが発火。炎が立ち、煙やタール分が生成されます。
450〜660℃可燃性ガスがほぼ完全燃焼します(炎あり)。
480℃〜熾火(おきび)。ほとんど炎をあげずに燃えます。

燃焼の3要素 — 完全燃焼の条件

燃えるもの

可燃性ガス、木炭(熾)

燃やすもの

酸素(吸気)

点火源

高い温度(燃焼による熱)

吸気口の絞りには要注意。 熱出力を調整するために燃焼空気量を減らすのは間違いです。酸素が不足すると不完全燃焼を起こし、 未燃焼ガスや煤が増え、熾火の時でも一酸化炭素が生成されます。気密性の高い室内は特にご注意ください。

「上から着火」がクリーンな理由

Bottom-up / 下から着火

煙が多くなる

薪の下に焚付け材と着火剤を置いて下から着火すると、上に積んだ薪が直接熱せられ、 沢山の可燃性ガスが発生して上昇します。上方には炎(高温)がないため可燃性ガスは燃えず、 未燃焼ガス(煙)が煙突からそのまま排出されてしまいます。

Top-down / 上から着火

煙が少なくなる

薪の上に焚付け材と着火剤を置いて上から着火すると、直接熱せられるのは着火剤の近くだけ。 発生する可燃性ガスが少なく、タネ火が近くにあるためその場で燃焼します。 その熱で徐々に下の薪が熱せられ、発生したガスは上の炎で燃える。煙を少なくできます。

焚付け前の確認作業

  1. 各部の点検 — 本体外部や煙突に異常がないか確認し、埃や汚れを落とします。 ガスケットの剥がれや断熱材の損傷、扉やダンパー・空気調整レバーの動作を確認します。
  2. 灰の残量確認・灰捨て — 炉内や灰受け皿の灰を灰スコップ(十能)で蓋付きの灰バケツに移します。 灰がたまりすぎると吸気が阻害されたり、灰が溢れたりします。焚き始める前の習慣に。
  3. ガラスの清掃 — 専用ガラスクリーナーで磨いて乾拭きします。 ガラスが汚れているとうまく焚けているか判断ができません。
  4. ダウンドラフトの確認 — 炉内に手をかざし、煙突からの下降気流の有無を確認します。 生じている場合は扉を開けてしばらく待ち、燃焼室内が室温になじむと上昇ドラフトが発生します。
    • ダウンドラフトがおさまるまで着火できません。

焚付けの方法

  1. 室内の換気扇を停止し、換気口を開きます。
  2. ダンパーを開け、吸気口の開度を最大にして、扉を開きます。
  3. 薪を組みます。下に太い薪、上に細い薪。量はお使いの機種のマニュアルに従います(目安 1.5kg 程度)。空気が通るように隙間をあけます。
  4. 焚付け材を載せます。親指〜指2本ぐらいの太さ。ランダムに空気が通るよう隙間を開けて、ふんわりと置きます。
  5. 着火剤を載せて、上から着火します。細く割った焚付け材の隙間に、2個程度。
  6. 扉をゆっくりと静かに閉めます。結露する場合は、ガラスが暖まるまで数分間、扉を少し開けておきます。
  7. 火が薪に回ったら、吸気口の開度を通常に戻します。ストーブから暖かさが感じられる程度に。戻し忘れにご注意ください。
着火に液体燃料は絶対に使用しないでください。 ガソリンや揮発油、アルコール等、またそれらと同様のものは絶対に使用しないでください。ゴミも絶対に燃やしてはいけません。

※ 吸気の調整方法は機種によって異なります。お使いのストーブの取扱説明書をご確認ください。 (例:IRON DOG N°07 はエアコントロールロッドの目印で「点火」「最大出力」「通常出力」「クローズ」を調整します。)

間欠燃焼と薪の補給

薪ストーブは「可燃性ガスがほぼ完全燃焼する状態」と「熾火の状態」を繰り返す、間欠燃焼(断続燃焼)で使用します。 熾火の状態をできるだけ長く維持し、燃焼が不完全な状態をできるだけ短くすることが、クリーンな燃焼のコツです。

補給のタイミング

炎がなくなっても、熾火が沢山残っているうちは補給してはいけません。補給した薪から一気に可燃性ガスが発生し、 酸素が足りずに不完全燃焼となるためです。熾火が十分に弱まってから、ただし 燃焼室内の温度があまり低下しないうちに補給します。

補給の手順

  1. ストーブ用の手袋をつけます。
  2. ダンパーを開け、吸気口の開度を大きくして、煙突のドラフトを強めます。
  3. 煙が漏れないことを確認しながら、ゆっくりと扉を開けます。
  4. 薪を補給します。量はマニュアル参照(目安 2kg 程度)。熾を覆い隠さないように、グレートや炉床に密着しないように。薪の周りや隙間に空気(炎)の通り道ができるよう、そっと置きます。
  5. ゆっくりと扉を閉めます。
  6. 火が薪に回ったら、吸気口の開度を通常に戻します。戻し忘れにご注意ください。

お手入れ

よくあるご質問

朝まで火を残したいのですが?

おすすめできません。吸気を絞って弱く燃やし続けると不完全燃焼となり、環境によくないだけでなく、煙道火災や一酸化炭素中毒など重大なリスクがあります。きれいな炎を保ち、青い炎にならないようにご使用ください。

着火時に逆流して、室内に煙が出てきます。

着火前にダウンドラフト(煙突からの下降気流)が生じていないか確認してください。扉を開けて燃焼室内を室温に馴染ませ、換気扇を止めて窓を開けます。着火剤だけを先に燃やして燃焼室内を温めるのも有効です。

熾火の時、炎がないのはさびしいのですが。

環境のために、そしてみんなのために、ちょっとだけ我慢しましょう。熾火を長く保つことがクリーンで効率のよい燃焼につながります。薪を補給するときは、過剰燃焼にならないようご注意ください。

※ 本ページは BRUNNER「IRON DOG N°07 ユーザーマニュアル」および a+(エープラス)「焚き方講習マニュアル」に基づいています。 詳しい操作・数値は、お使いの機種の取扱説明書をご確認ください。